OTC薬協刷新懇談会

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スイッチOTC選択肢の拡大ヒアリングのその後

本題に入る前に、驚くべきことに、本日、第234回理事会議事録がアップされました。

今までサボっていたのを反省したのか、先々回「大した内容ではないので、取り掛かればそんなに時間がかからずにできるはずです。」と記載した事に反発したのかわかりませんが。しかし、議事録を作成することは、事務局の基本的な役割なので、今まで役割放棄していただけにすぎませんが。

さて、234回理事会については4月18日、22日と2回に渡り、いただいた情報でコメントをつけさせていただきましたので、今更議事録に対してはどうでもいいのですが。さすがに、一般薬連会長候補推薦に2名の反対者があったことと、理事長、事務局長の任期延長に対し、「1年延長し、その間に次期候補を探したい。」と佐藤会長の言葉が明記されていますので、最低限度は記載されています。

さて、先回、先々回と規制改革推進会議「医療・介護ワーキング・グループ」ヒアリングについて記載しましたが、本日の業界紙に5月18日の規制改革推進会議でスイッチOTCの選択肢の拡大に向けた意見書が取りまとめられたとの情報が掲載されています。

6月の規制改革推進会議答申に盛り込まれると、皆さん単純に喜んでいると思いますが、そんなに思ったようにいきますか?スイッチOTCは、2014年に「日本再興戦略」に取り上げられ、その年の骨太方針に明記されたにもかかわらず、できたのは意味のない「新評価システム」です。一度あることは二度あるです。答申が出る前に4月15日に開催された「第11回医療・介護ワーキング・グループ」議事録から厚労省の考えをまとめ、この問題の根深さをおさらいしたいと思います。

4月15日「第11回医療・介護ワーキング・グループ」URLを示します。

厚労省資料

https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/meeting/wg/iryou/20200415/200415iryou01.pdf

議事録

https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/meeting/wg/iryou/20200415/gijiroku0415.pdf

この11回WGに厚労省から出された参考資料の中で、OTC薬協がヒアリングで出した要望や委員からの意見を受け、厚労省で対応をまとめた「前回会議で議論となった事項について」というスライドは、いわゆる「霞が関文学」そのものです。業界紙に大石座長の発言として「全会一致や委員構成の見直しについては(厚労省も)ある程度理解は示しているが、抜本的に変えることについてはまだ隔たりがあるように感じている。」と記載されている通りの内容です。

資料の中で、言葉としては規制改革推進会議の指摘を検討するように記載されていますが、かなりの部分の語尾は、「予定。」や「可能性はある。」と、断言を避けています。その中でも、「経済性の観点を検討すること」に関しては「含まれない。」と、「上市数の目標設定」に関しては「そぐわない。」と、「製造販売条件のルール化」に関しては「困難である。」と明確に否定しています。 つまり、前回の議論を受け、厚労省がはっきりとやるといった点は全くないです。これでは、また改革は塩漬けにされ、実効力のないままとなるのがオチです。

さらに会議では、スイッチOTC薬の上市数の目標設定に関して、「承認数は、企業の開発方針、申請数等に依存する」とか、全会一致の合意形成については、「スイッチ化不可の場合継続審議」と言ったうえで、継続審議は「企業から情報が出ないことには継続的な議論ができない。」というように、企業への責任転嫁と捉えられるような文言が散見されます。

これら規制改革推進会議と厚労省との議論を見ていると、公的保険を少しでも減らしたい政府・規制改革推進会議と医薬品で副作用が発生した場合の責任問題を恐れ、スイッチOTC化はできるだけ進めたくない厚労省の綱引きの間に入って、あまり深く考えずに「スイッチOTCだ!スイッチOTCだ!」と叫んで、火中の栗を拾いに行くOTC薬協の構図が見えて、他人事とはいえ「だいじょうぶですか?」と声をかけたくなります。

また、スイッチOTC化の後に来るのは、今年初めてのブログに記載した「OTC類似薬の保険外し」だという認識はありますか。

医療体制も含め、本当に大きな世の中の流れを見て戦略が立てられているとはとても思えません。

私個人的には先々回も記載したように、将来的には「スイッチOTC医薬品は、その有用性はなくなる。」と考えていますので、スイッチOTC検査薬と同様、あまり興味がなく、OTC薬協が今行っていることはどうでもいいのですが。