OTC薬協刷新懇談会

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まさにデジャヴ~セルフメディケーション税制プレス向けwebセミナー~

7月2日にセルフメディケーション税制プレス向けwebセミナーが開催されると聞いていましたが、最近ブログの更新もままらないほど忙しく、開催時間には他の要件があり直接視聴できなかったので、休みにYouTubeにアップロードされたものを視聴し、直接視聴した方からの情報をいただきました。しかし、視聴は時間の無駄で、視聴したことへの後悔しかなかったです。

こんな内容のない、質問も出ない低調なプレスセミナーを行ったことは、税制の改正要望にとって逆効果だと感じました。(体裁を考えるならサクラくらい準備するのでしょうが、それもなかったことは驚きです。)

昨年のプレスセミナーに関してブログに記載しましたが、今回視聴して感じたこともほぼ同じですので、その際の記載を再度掲載します。「要望の必然性はきちんと説明できているのでしょうか?要望を受けた財務省がこれを見て納得すると考えているのでしょうか?」

今回も前回同様、全く税制改正要望の説明になってません、。厚労省財務省OTC薬協から出された「セルメ税制に関する生活者16 万人調査」をもとにこの税制の改正を主張しなければならないのですよ。しかも今回がラストチャンスだというのに・・・。

また、昨年の税制改正要望が出された際以下のように記載しました。「改正要望が、国民のため、国のため、そして産業界活性のために役立つことが理論的に説明できているかだとおもいます。まさか、使い勝手が悪くて利用されない税制だから、生活者調査で要望が多い項目を改正要望案としたという話ではないですよね。今回は厚労省から外に出ることはないようですので、必要ないかもしれませんが、来年は、厚労省は改正要望案を財務省に持ち込んで説得をしてもらわなければならないわけですから、OTC協会は説明責任があります。特に、税制の範囲を全OTC医薬品に広げる要望を出していますので、何の理論的説明もなしに要望すると、また、業界のエゴだと非難されそうで問題です。でも、まだ1年ありますから、是非surrogateであってもエビデンスをつけて、しっかり説明できる形で提出してほしいとおもいます。」

残念ながらエビデンスは出てきませんでしたね。全く進歩のない一年でした。エビデンスは無理にしても、要望最終年に向けて、少しは調査を工夫して、要望が理論的に説明出来る要素を入れてくるかと思ってましたが、それも無しで、昨年と同じ調査をして、同じ結果を発表して、恥ずかしくないのですかね。セミナー開催形式が、F2Fがwebになっただけで、タイトルの様に「まるでデジャヴ」。毎年同じ主張を繰り返せば何とかなるとでも思っているのでしょうか?それとも、後はなりふり構わずポリティカルに対応する?いろいろな政治的動きを内部の方から報告をいただいていますので、多分後者の方が当たっているのでしょうが。

「使い勝手が悪くて利用されない税制」は今回の調査ではもっと顕著に表れています。プレスセミナーでも話されたように「セルフメディケーション税制の理解が進むほど、利用意向が低下する。」です。以前ブログに「まるで生活者から出来の悪い制度だとクレームを突きつけられているようで辛いですね。」と記載しましたが、自らそれを証明しました。しかも今回は2次調査で医療費の低下とともにOTCの購入も低下しています。生活者のリテラシーが上がると医療サービスを受ける前にセルフメディケーションを実践するのではなく、セルフケアを選択し実践することも証明しています。

さらに、「利用されない制度だから利用されるように改正してほしい。」は理論が破綻していることに気づきませんか?しかも改正要望内容が、これも以前指摘しましたが、「生活者調査で要望が多い項目を改正要望案としたという話ではないですよね。」そのものです。アンケート調査の難しさですが、アンケート調査によって生活者のニーズを的確につかむことはほとんど不可能であることはいろいろな研究によって明白です。100歩譲って、生活者のニーズがそこにあり、それに対応し利用が伸びたとしても、それが国民のため、国のため、そして産業界活性につながることを説明できていません。プレスセミナーの中ではセルフメディケーション税制によって医療費の削減がもたらされるような幻想を言っていますが、国民医療費43兆円のうちOTC医薬品がカバーしている医療費がどれだけか試算したことはありますか?OTC医薬品産業が6500億円しかない中で、医療費に与える影響は試算しなくとも、限定的で僅かであることは、容易に想像がつきます。

インテージ社のレポートも酷いものでした。「医療機関の受診を回避し、OTCで対処する。」は医師会へ喧嘩を売るつもりですか?ま、医師会はこんなレベルの低い喧嘩には乗ってこないでしょうが。「免疫力の向上のためにOTCを利用する。」「OTCの免疫力向上エビデンスの訴求。」そんなエビデンスがあるのなら見てみたいものです。このようなレポートをさせておくOTC薬協も問題ですが。

また、「セルメ税制に関する生活者16 万人調査」の中でも、「重い症状」でもOTCが使用されていると、恥ずかしくもなく報告していますが、「重い症状」でOTC薬品を使用することは適切ですか?特に「頭痛」や「生理痛」で漫然とOTC医薬品を使用する危険性を認識していますか?二次性頭痛などの危険性を考えると、重い症状の頭痛に使用させるのではなく、きちんとトリアージができるようにすべきだと思います。適正使用をないがしろにすると命取りになります。全く生活者の健康を守る意識が欠如しています。それは協会活動が、自分たちの売り上げを上げることだけに終始しているからです。今の時代、CSRの思想がない企業は、社会から退場を突きつけられます。協会活動は公益を目指しているのですから、更に生活者を中心に考える必要があります。

セルフメディケーション税制プレス向けwebセミナーの視聴と得られた情報から感想を述べましたが、コメントをつけること自体馬鹿らしくなるようなセミナーでした。忙しい中、無駄な時間を使った後悔の念でいっぱいです。

セルフメディケーション税制は国も行政もCOVID 19対応で大変な中、こんなshabbyな税制に時間を取られる事はしたくないでしょうから、誰も注目せず、変えることも潰すことも手間なので、再度期間延長で継続されるが私の予想です。

そうなったときは、OTC薬協は、自分たちの活動が実って、最低限度の要望は実現できたと、自画自賛するのでしょうが、賢明なこのブログの読者の皆さんは、OTC薬協は無駄なお金だけ使って、何にも出来なかったと、正しい判断が出来るでしょう。