OTC薬協刷新懇談会

OTC薬協刷新懇談会はOTC薬協の事業をみんなで考える会です

OTC薬協の今年1番の案件は?

あけましておめでとうございます。

今年もOTC薬協刷新ブログにお付き合いいただきますようお願いいたします。

さて、年末にかけて薬機法改正から診療報酬改定討議、全世代型社会保障検討会議中間報告、健康医療新産業協議会の設立など行政の動きがめまぐるしく、フォローするのも大変でしたが、OTC薬協に関連するものとして昨年の一番の話題は「OTC類似薬の保険外し」だと思います。

この件は昨年8月23日に健康保険組合連合会が次期診療報酬改定に向けた政策提言として「政策立案に資するレセプト分析に関する調査研究結果IV」を公表したことをきっかけに議論がされています。いくつかある提言の一つに「花粉症のOTC類似薬の保険適用除外・自己負担率の引き上げ」がありました。

軽症疾患に対する薬剤給付やOTC類似薬の議論は、過去にも論点として浮上しては消えるが繰返される懸案の課題だと思います。しかし今回は国も本気で行うのではないかと思います。健保連のプレスをきっかけに新聞や週刊誌を始めとするマスコミがこぞって取り上げたのは、世論形成のため行政が仕掛けた結果だという人もいますが、真偽のほどはわかりません。

過去には中央社会保険医療協議会(中医協)で支払側の要望が取り入れられ、栄養補給だけを目的とするビタミン剤処方、うがい薬の単独処方、湿布薬の大量処方など、市販品類似薬の算定を徐々に制限してきた経緯がありますが、個別案件だけにとどまり、OTC類似薬全体には広まっていません。前回の診療報酬改定でも保湿剤の美容的使用を問題視しされ、解決には至らなかったものの、マスコミなどに大きく取り上げられ社会の関心を集めたことは記憶に新しいところです。

先週マスコミでも報道されたとおり、官邸は医療制度改革を6月にまとめ、秋の臨時国会に関連法案として提出する予定とのことですので、「OTC類似薬の保険外し」が議論されるのはこのタイミングだと思います。すでに関連する団体は意見表明を行っており、健康保険組合連合会の「花粉症のOTC類似薬の保険適用除外・自己負担率の引き上げ」提案に対して日本経済団体連合会経済同友会日本商工会議所は10月24日の自民党人生100年時代戦略本部」にていずれも医薬品の保険給付の現状に問題意識を示す資料を提出しています。JACDS政治連盟OTC類似薬の保険適用除外などの実現を目指す考えを示しています。また、日本医師会日本薬剤師会は10月9日の自民党人生100年時代戦略本部」にて反対表明を出していますし、日本医師会は独自に見解を表明しており、「スイッチOTC化されたから医療用ではなくなるということではなく、医療上必要な医薬品は保険でも対象とされている」との厚労省医薬・生活衛生局長の見解を引用し、経済的弱者等に適切な医療が提供されなくなるなど、国民皆保険の崩壊を招くと主張しています。医師会関連では大阪府保険医協会、京都府保険医協会なども同様の見解を出しています。

ステークホルダーはこぞって各々の立場で外向けに意見表明を行い、おそらく水面下では政治的な駆け引きも行われていると思われる中で、OTC薬協はこれだけ大きな改革が目の前に来ているのに、内部でしっかりと検討も行われていなければ、意思表示もなされていなく、「OTC類似薬の保険外し」は人任せ、運任せで、対応も出たとこ勝負の様相ですが、大丈夫でしょうか。

本来はOTC薬協内にプロジェクトを立ち上げ検討を行い、賛成の立場のステークホルダーと意見交換や協調路線をとり、業界に有利な制度になるよう活動を行い、会員に情報をフィードバックし取るべき対応をしっかり取れるようにすることが協会の役割だと思います。

ただし私は10月23日のブログに掲載した「OTC薬協刷新懇談会趣意書」の中に記載したようにOTC類似薬が保険から外れれば、自動的にOTC薬市場が広がるとは思っていません。そのとき記載した文はこのようなものでした。

「業界の中には保険償還が限定されれば自動的に生活者はOTC薬を購入せざるを得ないと決めてかかっている向きがありますが、とんでもない間違いです。今の価格と売り上げは維持できません。PB商品との激しい価格競争を迎え、テレビコマーシャルによる差別化などは夢物語になるでしょう。これらのような問題を皆で力を合わせ解決することこそ、今OTC薬協が取り組むべき事業ではないでしょうか。」

この時は市場拡大による競争激化により既存のメーカー製品は安閑として居られないとの趣旨の意見を述べましたが、その後色々な業界の方や、行政の方と情報交換をしていると、そのような単純な状況ではないことが理解できました。もっと厳しい現実が想定されます。ここでは意見交換している他の団体との関係もあり、詳細は記載できませんが、しっかり状況を把握し、対応しないととんでもないことになります。

そのようなことを考えると、何にもやっていない佐藤会長の責任は重大だと感じます。

次回理事会で理事の方から早急に対応をとるよう提案してはいかがですか。