OTC薬協刷新懇談会

OTC薬協刷新懇談会はOTC薬協の事業をみんなで考える会です

驚くことに第233回理事会議事録もアップされました(つづき)

先回のブログで「検査薬のスイッチOTC化の議論に関してのほうが問題がある。」と述べました。今回はそこを中心に書きたいと思います。

セルフケアを考えたとき自身の健康状態を知ることは、大変重要なことだと思います。健康寿命の延伸を目指し、生涯現役の人生を全うするためには、常に自分の健康状態を見える化し、自分自身で、あるいは医療専門家やAIのサポートを受けながら、健康を管理する必要があると思っています。

WG議事録を読んでいて、その通りだと思うのは、佐藤座長代理の発言で、OTC検査薬を使用するのは、必ずしも医療にかかることを前提としているわけでなく、セルフケアとしていろいろな選択肢があるべきです。しかし、穿刺血による検査薬の議論では、臨薬協も厚労省も、検査後に医療に行くか行かないかの自己判断のためにスイッチOTC検査薬があるという、非常に狭い発想で議論されています。それではOTC検査薬の将来はないだろうと感じます。

今セルフケアの社会実装モデルを考えていますが、検査に関してはDX(Digital transformation)がKey wordです。今まで観血的にしか測れなかった血糖や脂質も、非観血的に測定するデバイスが次々と開発されています。いずれそれらがwearable deviceとして自動的に健康に関するデータが集められ、そのデータに基づいてセルフケアを実践する世界が、もうそこに来ています。そのようなことを考えていると、WGで議論されているスイッチOTC検査薬は、いったいどのような有用性を将来にもたらすのか理解できません。

OTC薬協も臨薬協も現状のビジネスモデルでしか考えられない体質は同じです。そのため医療用で使用されている医薬品や検査薬をスイッチOTC化する発想しかありません。しかもスイッチOTC化によって、単純に医療用のマーケットからOTCマーケットへ市場が移り、自分たちの市場が大きくなることを期待しています。さらに悪いことに、それが健康寿命の延伸をもたらすとか、国の医療財政を助けるなどと、とんでもない勘違いをしています。しかし、決してそのようなことは起きません。世の中そんな単純ではないです。

これは以前から指摘しているようにOTC薬協が、また、おそらく臨薬協も「サイロ・エフェクト」に陥っているからです。世の中の大きな動きが見えていません。組織が孤立し、全体状態に対応できなくなり、また、既存の方法に固執して、他の方法を検討しなくなり、視野狭窄を起こし、排他主義セクショナリズムなどはびこる状態に陥っています。最近OTC薬協は、それに加えて秘密主義にも陥ってきて、さらに状況が悪くなっています。サイロ化した組織の行動の最たるものとして、以前紹介したジリアン・テット氏の著書「サイロ・エフェクト 高度専門化社会の罠(文藝春秋)」の中には、「自らの価値観を絶対視し、そこに当てはまらないものを異端とみなし、無視あるいは攻撃する行動」と記載されていて、まさに今のOTC薬協だと思います。

OTC薬協立ち直れますかね?

 追加

前回のブログで「第6回医療・介護ワーキング・グループ」への要望を、事前に理事会で諮らなかったことに対し理事会軽視と述べましたが、理事会軽視をといえば、今回の議事録で、「会則改正」の審議において、正副会長会を明確化し、権限を持たせるのは理事会軽視ではないかとの質問がありました。この質問に対し、「正副会長会の決議事項は事務局人事(直接雇用)等限定される。」と返答したと記載されています。しかし、以前のブログにも書きましたが、会則改正案では「役員報酬」の議決権や「懲戒処分審議」も正副会長会の権限となっています。質問に対しては恣意的な返答ではなく、正確に答えてほしいものです。正副会長会のような密室でこのような重要なことが決定できる組織は、ガバナンス上問題だと思いませんか?