OTC薬協刷新懇談会

OTC薬協刷新懇談会はOTC薬協の事業をみんなで考える会です

OTC薬協の適正使用に対する認識について

驚きのメールがOTC薬協から出されています。

以下に12月21日にOTC薬協事務局から出されたメール(タイトル「NHKのTV番組」)を掲載します。 

『各位 いつもお世話になっております。日本OTC医薬品協会○○です。既にご存知のメンバーもいらっしゃると思いますが協会にも問い合わせがありました。OTC医薬品についてのあまり良くない内容のようです。NHKの番組は12月23日放送の予定と思われます。放送日時(予定):2020年12月23日(水) 午前8:15~午前9:55(100分)タイトル:あさイチ「今こそ気を付けたい!身近な“薬”とのつきあい方」番組内容(以下省略)』

OTC医薬品についてのあまり良くない内容のようです」という表現には驚きました。

番組予告サイトのURLが添付されており、その内容を確認しても、OTC医薬品の適正使用を解説する番組で、「OTC医薬品についてのあまり良くない内容」は確認できませんでした。

https://www2.nhk.or.jp/hensei/program/p.cgi?area=001&date=2020-12-23&ch=21&eid=34294&f=1548

そこで23日(水)放送のNHKあさイチ「くすりとの上手なつきあい方」を視聴しました。市販薬パートと処方薬パートがありましたが、前者においては、薬剤師の先生より「症状がないのに予防的に市販薬を使うのは避けてほしい」「長期連用の目安は、薬剤や状況によって異なるが2、3日のケースもあるので、効果がなければ相談してほしい」など、当たり前のコメントをしていました。

適正使用の重要性ではNSAIDs胃潰瘍、薬物乱用頭痛を例に長期連用と多剤併用のリスクを紹介し、添付文書をよく読み、効果がなかったり気になることがあればすぐに医師、薬剤師に相談をと、また、市販薬の依存症では若者中心にSNSを介して広がっていることや、対応として本人や家族で抱え込まず、精神科医や相談窓口に相談してほしいことが述べられ、さらに覆面調査では約30%のドラッグストアでは販売方法が不適切と販売現場での問題の指摘もなされていました。HNKのHPに番組の紹介がされていますので、以下にURLを紹介します。

https://www1.nhk.or.jp/asaichi/archive/201223/1.html

このNHKの番組はOTC医薬品の適正使用に関して正面から取り組んでおり、OTC薬協としてOTC医薬品の適正使用を広報いただいたと歓迎すべきで、「OTC医薬品についてのあまり良くない内容」と問題視する方がおかしいと思います。番組の中で、『「市販薬」=「効果も弱い」「安全」・・・は大きな間違い!』と注意喚起されていますので、市販薬の注意喚起=売り上げの減少との観点で、OTC薬協が問題だとの感じていることは明らかです。

そもそもOTC医薬品産業の発展のためには、適正使用がベースになければならないことは明白です。適正使用をないがしろにして売り上げ至上主義の考えで進むと、OTC医薬品産業は発展するどころか、国民から社会的責任を果たしていないと非難され、産業として衰退し、社会から退場させられることになります。もし、協会に参加している企業が売り上げ至上主義に走り、OTC医薬品の品質や適正使用をないがしろにして、売上だけを求める行動があれば、その姿勢に歯止めをかけることは、業界団体に課せられた大きな使命だと思います。その一環として広告審査会などを運営したり、プロモーションコードを作成したりして、OTC薬協として活動を行っていると考えていました。

しかし、最近、OTC薬協自体が、売り上げ至上主義に傾き、本来の協会の役割、つまり、適正使用を啓発し、健全な業界の発展に寄与する役割を放棄したように見えます。

その一端が、7月6日のブログ「まさにデジャヴ~セルフメディケーション税制プレス向けwebセミナー~」においても指摘をさせていただきました。その中で、『「セルメ税制に関する生活者16 万人調査」の中でも、「重い症状」でもOTCが使用されていると、恥ずかしくもなく報告していますが、「重い症状」でOTC薬品を使用することは適切ですか?特に「頭痛」や「生理痛」で漫然とOTC医薬品を使用する危険性を認識していますか?二次性頭痛などの危険性を考えると、重い症状の頭痛に使用させるのではなく、きちんとトリアージができるようにすべきだと思います。適正使用をないがしろにすると命取りになります。全く生活者の健康を守る意識が欠如しています。それは協会活動が、自分たちの売り上げを上げることだけに終始しているからです。今の時代、CSRの思想がない企業は、社会から退場を突きつけられます。協会活動は公益を目指しているのですから、更に生活者を中心に考える必要があります。』と記載しました。

OTC薬協の中で適正使用をないがしろにしている今の風潮は問題です。セルフメディケーション税制やスイッチOTC推進で、売り上げを上げる活動も重要かもしれませんが、年も改まることですので、ここはしっかりと、OTC薬の適正使用を広報する活動の在り方も、基本に戻り再点検していただきたいものです。まずは、OTC薬協の内部の意識改革から。

今年一年お付き合いいただき有難うございました。来年はもっと頻回にブログを更新したいと思います。来年もお付き合いいただきますよう、よろしくおねがいします。良いお年をお迎えください。