OTC薬協刷新懇談会

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骨太方針2020年原案に「セルフメディケーション」が掲載されました

おめでとうございます。

骨太方針2020年原案にセルフメディケーションの文言が掲載されました。

昨年は骨太原案には記載されませんでしたが、その後国会議員の先生方への工作が実り、政調全体会議・経済成長戦略本部合同会議では何とか復活したと聞いています。2019 骨太方針では「一般用医薬品等の普及などによりセルフメディケーションを進めていく中で、健康サポート薬局についても、その効果を検証しつつ取組を進める。」と記載されました。昨年ブログにも記載しましたが2年連続「健康サポート薬局」推進の枕詞でした。ちなみに2018年は「セルフメディケーションを進めていく中で、地域住民にとって身近な存在として、健康の維持・増進に関する相談や一般用医薬品等を適切に供給し、助言を行う機能を持った健康サポート薬局の取組を促進する。」との言葉でした。

ところが骨太方針2020年の原案では31頁に「一般用医薬品等の普及などによるセルフメディケーションを推進する。」と「健康サポート薬局」の言葉はなく単独で「セルフメディケーションを推進する。」とはっきり明記されました。

本日のOTC薬協の理事会では恐らく「やった!やった!これでセルフメディケーションは進展する。セルフメディケーション税制も改正要望実現に向け大きな前進だ!」と大喜びする人がいる気がします。

ところで今年の骨太方針2020年の原案は異例です。昨年は6月11日に出された原案が今年は7月8日とおおよそ1カ月遅れで、ページ数も昨年は72頁が今年は約半分の35頁です。皆さん想像がつくように今年は新型コロナウイルス感染症の対策対応のため、作成が大幅に遅れ、内容も十分検討されたものとはいいがたいものです。しかも新型コロナウイルス感染症を受け、冒頭の第1章のタイトルからして、「新型コロナウイルス感染症の下での危機克服と新しい未来に向けて」となっています。

このような中「セルフメディケーションを推進する。」の文言は、『第3章 「新たな日常」の実現』の中の、『4.「新たな日常」を支える包摂的な社会の実現』、『(1)「新たな日常」に向けた社会保障の構築』、『② 「新たな日常」に対応した予防・健康づくり、重症化予防の推進』の中で使用されています。その中では予防や健診、オンライン健康相談、社会的処方、歯科口腔保健などの後、何ら脈絡もなく「一般用医薬品等の普及などによるセルフメディケーションを推進する。」の言葉が使われています。

これに対する解説もないので、この文言が何を目的としているのかはわかりませんが、この文脈からは「内閣府規制改革推進会議が進めるスイッチOTC化の推進」とみるのが普通でしょうか。

また、骨太方針原案の冒頭部分には「新型コロナウイルス感染症の拡大を受けた現下の経済財政状況」の項目の結論として「我々は、時代の大きな転換点に直面しており、この数年で思い切った変革が実行できるかどうかが、日本の未来を左右する。」と記載されており、さらに、「今回の感染症拡大は、各国のいわば脆弱な部分を攻めてきており、我が国の場合も、その課題やリスク、これまでの取組の遅れや新たな動きなどが、改めて浮き彫りとなった。」と述べ、デジタルトランスフォーメーション(DX)により改革を進める方針が随所に現れています。

2020年5月13日のブログで『最近「withコロナ」や「postコロナ」対応が言われ始めています。Key wordは「SDGs」や「Sustainability」。パンデミックになっても医療崩壊を招かないために、自分の健康を自分で守るセルフケアをどのように社会実装できるか。それをデザインし実行に移す必要があると思います。幸いこの連休は外出もままならなかったため、ゆっくりと考える時間がありました。もともと日本の医療やヘルスケア産業は近々paradigm shiftを迎えると思っていますが、このCOVID-19の影響で、その時期がずいぶん前倒しになる動きがあり、急いで対応行動をとらないといけないと思います。agileに対応しないと、世の中の流れから、大きく後れを取ってしまうと危機感を感じます。』と記載しましたが、まさに同じ考えを骨太方針に見た気がします。早々に変革が訪れ、遅れをとる危機感を強く感じ、最近そのための活動を始めたところです。

OTC薬協ではセルフメディケーション税制が今年最大の事業だと取り組んでいるようですが、国は今年の税制大綱で一番の課題は、新型コロナウイルス感染症対策のための補正予算で発行する約57兆円の国債を、今後どのように処理するかだと思います。東日本大震災の際に導入された「復興特別税」のような増税が検討されるでしょうから、セルフメディケーション税制のようなshabbyな税制に時間をかけることなど到底考えられません。OTC薬協はそのあたりまで考えて行動していますかね。

「サイロ・エフェクト」に陥っているOTC薬協にそれを期待することは無理だと思いますが。