OTC薬協刷新懇談会

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セルフメディケーション税制の改正要望が出されました

7月17日にOTC薬協事務局よりメールがあり、厚労省医政局の林経済課長に、根本厚労大臣宛の税制改正要望書を提出したことと、同日にプレスリリースを行った旨連絡を受けました。7月18日付日刊薬業やRISFAXにも掲載されていました。

しかし、この要望書の提出、5月20日開催のOTC薬協総会の資料では8月に要望を出すとなっています。しかも内容は理事会でも全く説明無し。税制改正要望のような重要な案件は、理事会で説明し、承認を経て出すのが当たり前だと思いますが。7月22日に理事会を開催するのに、なぜこのようにあわてて前倒しして要望書を出す必要があったか不明です。理事会を待てなかった特別な理由でもあったのでしょうか?しかも今回の要望は来年の税制改正への要望で、今回は要望を出して世論を盛り上げることに意義があると割り切っているはずですので、そんなにあわてて提出する必要が無いと思いますが。よほど中身の議論をしたくなかったのか、または、理事会を軽視しているとしか思えません。

さてその中身ですが、6月24日開催のプレスセミナーで説明した、①全てのOTC医薬品に対象を広げる、②控除金額の下限・上限枠を広げる、③検診などの要件を外す、④税制を恒久化する、の4項目でした。プレスセミナー直前の6月19日に開催された事業活動戦略会議で、要望案変更の説明があったようです。6月開催の事業活動戦略会議は6月20日のブログ「OTC薬協驚きの対応」にも記載しましたが、突然事前の知らせも無く出席するに及ばずの対応を取られ、出席はできませんでしたが、その後関係者からお話を聞く機会がありました。それによるとセルフメディケーション税制に関し、議員や関係団体と話をしてゆく中で、対象品目の拡大に関しては「殺虫剤を除く」とすること、控除金額下限額については、税制利用時の購入金額は1万2千円とし、控除額をゼロ円とすることが報告されたとのことでした。また、税制改正要望の⑤として、検診やワクチン予防接種費用を控除対象とすることが案段階では挙げられていたようですが、医療費控除の関係から取り下げられたようです。事業活動戦略会議では事前に詳細に説明するのに、理事会では事前説明は行わないというのも、どちらが意思決定機関かわかりません。

さて、税制の一番の問題は今回の改正要望が、国民のため、国のため、そして産業界活性のために役立つことが理論的に説明できているかだとおもいます。まさか、使い勝手が悪くて利用されない税制だから、生活者調査で要望が多い項目を改正要望案としたという話ではないですよね。今回は厚労省から外に出ることはないようですので、必要ないかもしれませんが、来年は、厚労省は改正要望案を財務省に持ち込んで説得をしてもらわなければならないわけですから、OTC薬協は説明責任があります。特に、税制の範囲を全OTC医薬品に広げる要望を出していますので、何の理論的説明もなしに要望すると、また、業界のエゴだと非難されそうで問題です。でも、まだ1年ありますから、是非surrogateであってもエビデンスをつけて、しっかり説明できる形で提出してほしいとおもいます。

しかし、この税制に関しては、6月26日のブログに記載したように、この際いっそあきらめて、生活者を中心にどのような仕組みがセルフケアやセルフメディケーションに役に立つかを、一から考えたほうが結果的には社会のためになるのではないかと思っています。

そういえば、税制が始まった初期のころ、財務省の方から税制改正を希望するなら、省内の意識付けのため毎年ジャブ程度の改正要望を出したほうがいいですよといわれていました。実行されていないでしょうけど。